「経済成長はもう必要ない」、「経済成長は人々を幸福にしない」という言葉を最近よく耳にします。確かに、大量生産・大量消費を拡大し続けることは地球環境にダメ-ジを与えることになりますし、資源には限りがあるということも考えなければなりません。
"GDP(国内総生産)の成長"は、大量生産・大量消費で成長するということとは別の考え方です。GDPとは一定期間の間に国内で生み出された付加価値(モノやサ-ビス)の合計金額のことです。このお金が実際に動いて経済活動が行われます。取引などで動いたお金の量が増えることにより、"経済が成長する"ことになります。GDPが前年(または前の四半期)に比べて何%増加しているかを、物価変動分を調整せずに計算したものを"名目経済成長率"といいます。
デフレ(モノやサ-ビスの値段が下がり続けている状態)の日本では、名目経済成長率がマイナスです。日本のデフレは15年間続いており経済活動も停滞しています。
インフレ(モノやサ-ビスの値段が上がる)になると、必ずしも消費されるモノが増えなくても(大量生産・大量消費しなくても)取引に用いられるお金の量が増え、名目経済成長率が上がることになります。
日本の社会保障の維持には財源確保がかかせません。誰かの負担なしに給付はできないのです。真に支援すべき人を助け合うしくみを維持するためにも、資本主義国家である以上は「経済成長」を否定せず、「みんなで負担し助け合う為の成長」をめざせば人々の幸福にもつながるのではないでしょうか。